大台ケ原(奈良県上北山村)

雄大な大自然を今に残す大台ケ原。群生するモミ・ブナの原生林。その傍らで苔むした倒木が、数百年の風雨にさらされ、イト笹の葉陰で静かに眠る。年間6000mmともいわれる雨の恵みは、豊かな地下の水脈を刻み、珠玉の森林地帯、渓谷、湿地、渓流、草原、目もくらむような断崖、エメラルドグリーンの淵、瀑布の数々をもたらした。なかでも、あたり一面白骨のような立ち枯れの巨木が林立する正木が原・牛石が原は太古を偲ばせる幻想的で神秘的な風景だ。大蛇ぐらの大絶壁は、鎖をたどって先端に立つことができるが、ほんとうに足がすくむ思いだ。主峰日出ケ岳から望めば、吉野の山々をはじめ、遠く熊野灘、遥か富士山も遠望できる。悠久に時間は流れ、神秘に自然が息吹き、訪れた者をやさしくつつむ。君は大自然にきたことがあるだろうか。まだないだろうか