瀞峡でキャンプ(奈良県北山村)

ふと目を覚まし、漆黒の空を見上げると鱗雲の大群が全天を覆っていた。雲間から月が見え隠れして、南のほうの空を流れ星が一直線に走った。君は全天周映画を見たことがあるだろうか。大自然のプラネタリウムはめまぐるしく変容し、もはや自分の身体は3次元の宇宙空間に投げ出され、果てのない世界へ急速度で突っ込んでいった。どれくらい過ぎただろうか。再び目を覚ますと鱗雲の大群はすっかり流れ去って明け方近くになって空は群青色に変わり、数え切れないほどの星が満天に輝いた。


君は明け方にしか見れない群青の空を見たことがあるのだろうか。満天の星空は見たことはあるのだろうか。わたしの心は言い知れぬ充足感に満たされていった。峡谷に挟まれ急流が激しい清冽な音を響かせている。また流れ星が一直線に走った。