やどり温泉(和歌山県橋本市)

和歌山県橋本市北宿。橋本から高野山への裏道、やどり温泉は丹生川の渓流のすぐ側にある鄙びた温泉です。高野山からの帰りもう日が暮れてあたりは真っ暗だ。浴室の灯りが貯水池に映っている。湯気で曇ったガラス窓の灯りが暗闇の中に浮かんでいる。食堂のカウンターで料金を払って脱衣所に入ると竹篭が棚に並んでいる。ロッカーなどはなく貴重品は脱いだ服の下にしまう。浴室に入ると小さな湯船が一つあるだけだ。洗い場の水がチョロチョロでとても悪い。近頃の温泉にあるサウナやジャグジーなどはもちろんない。汲み上げている温泉も水量が少ななく循環させている。しかしそんな素朴さが何とも言えない。薄汚れた食堂では猪肉を食べている客がいた。客といっても一組だけだ。近くで捕獲したのだろうかシカの角が置いてあった