紀伊見温泉(和歌山県橋本市)

長いトンネルを越えると紀伊見峠駅に着く。近くには鱒釣り場があるが昨晩からの寒波のせいか釣り客もなく食堂には人の気配もなく薄暗い。そこから少し坂道を上がると古びたコンクリート建ての国民宿舎がある。建物の周囲には酒場で見かける赤と青の模様のアサヒビールの提灯が並んでいる。簡易ホテルのようなフロントで入湯料400円を払うがロッカーの鍵や券など何も手渡されない。靴もはいたまま休憩コーナー横の階段を下りて浴場に行く。脱衣場では蚕棚に籠が並んでいた。7人も入ればいっぱいの浴槽、あの懐かしいケロリンの風呂桶があった。浴槽の窓から遠くに紀伊見峠の駅の灯りが見えている。時折電車の通る音が聞こえ電車が駅に到着する。