美術品を破格の値段で落札できたわけ


宇治電ビルの女神像
宇治電ビルの女神像

1)美術品(版画とか彫刻)をヤフオクで物色していたら、共箱に書かれた作者の名前が判読できず作者不明で工芸品のような扱いで格安で出品されているブロンズ像がありました。わたしも最初は判読できなかったが、芸術的な価値を感じたので何度か眺めているうちに「奥田勝」だと確信を持ち、ネットで検索してみるとなんとこの作品と同じ画像が投稿されていてこの彫刻家について興味深い記事が出てきました。【奥田勝】(1908~1968)彫刻家・洋画家。1908年(明治41)奈良県生。東京美術学校卒。日本彫刻家協会会員。この作品は昭和37年に日本生命の本館ビル改築竣工記念に「いのちの泉」と題して制作された母子像。現在も見ることができます。奥田勝の作品は大阪の宇治電ビルにも巨大な女神像が保存されています。その他高名な歌人であった会津八一が奥田に送った長さ16メートルの手紙「与奥田勝」(新潟市の会津八一記念館で保存)とか。

 

美術品の価値というのは作者が著名であるかどうかで決まります。無名や作者不明となるとほとんど価値はなく入札も入りません。出品者が彫刻家の名前を判読できなかったためになんと8百円で落札。870g 19.5㎝

共箱とは作者が署名捺印した箱のことです。 箱の表側には作品名が記されており、裏側に作者の名前が書いてあるのが一般的。

 

代々木公園にある「しあわせの像」
代々木公園にある「しあわせの像」
落札した「しあわせの像」
落札した「しあわせの像」

2)次も作家名が記載されてない「しあわせの像] 出品説明画像をくまなく見ていると制作の趣旨は日本の放送に大きな貢献をした放送界のトップを顕彰する目的で電通が昭和46年に制作したとか。その記名プレートのすみになんと彫刻家の名前を発見。調べると[菊池一雄](1908-1985)「原爆の子の像」(広島市平和記念公園)「平和の群像」(最高裁判所)の作者。毎日芸術賞、毎日出版文化賞を受賞 京都芸術大学、東京芸術大学教授 東京帝国大学卒業 この作品は東京の代々木公園にあるらしい。5000円で落札。菊池一雄の名前で出品していたらおそらく10倍くらいの値段になったはず。重さ10.24キロ 28×21×11㎝