宮島のT君からの電話

大学時代の消息がなかったT君とは20歳の成人になったとき 成人式には参加しなかったが、その夜東京の場末の喫茶店で二人で語らった記憶があります。大学卒業後一度大阪堺に彼がやって来たときに会って以来、数十年も音信不通、出した年賀状に返信がなかったのでそれはいけないよとか書いたような気がする それが気に障ったのか? 彼は奥さんの実家である広島の観光地宮島で確か飲食店土産物店をしていたはず。T君とは大学時代に共済部という自治会組織で活動をしていた縁でした。彼はいったいどうしてるんだろう?と時々思い出してネットで名前検索したりしたが出てこない。

4月25日の昼前にわたしは仕事中でしたが、同じ共済部の友人のS君から突然の電話あり
「今からある男と電話代わるから ちょっと待って」 
T君が電話に出て
今Sと渋谷で会っているんだ。今日は大学の共済部に行って来たよ。今月、宮島を出て東京に帰って来た  東京が恋しくてね」
「宮島には戻るんかい」
「いや戻らないと思う。年賀状に返信しなくて悪かったよ」
「いや君はどうしてるんかなと時々思うことがあったよ」
「宮島では飲食店をやっていて成功したんだけどね

T君はS君と抱き合って涙したとも言ってました。

青春時代の友人と長い無言の年月の経て、もっていたわだかまりがやっと解けました。彼はベルナールビュッフェの絵の収集家でもあります。

彼は70歳になって宮島を捨てて出身地の東京に戻り銀座に画廊をオープンさせ長年の夢を実現しました

現座プランタン